△ネイチャーフォトグラファーの安全考察1・・・夜間の懸垂

今回は安全な夜間の懸垂について考えてみたいと思います。
山中での行動時間が伸びて夜になり、下山道をLOSTして崖の上に出てしまう。
こういう状況でどうしたらいいのかです。

muradachi_2013_6.jpg

天候が安定していて季節も夏ならば一晩ビバーグした方がいいでしょう。
但し、今回管理人が夜間に懸垂をしなければならなかった状況は、天候の悪化が予測され気温の低下が起こる上に周囲にビバーグ適地がなかった状況でありました。従いまして、数段の滝が落ちる横の崖を夜間降りることにいたしました。
参加メンバーは2名です。
用具ですが、ザイルは25m(ベアールスティンガー 9.4mm黄+赤)と20m(エーデルワイスディスカバー8.5mm紫+黒)の2本を用意しておりました。
流石に夕刻には焦りがありましたが、ヘッドライト状態になりますと妙に気分が落ち着いてきました。
尚、ザイルですが8.5mmより9.4mmの方が初心者にとってはスピードの制御がしやすく今回は25mで降りております。
夜間の懸垂と言いましても普通の懸垂をより正確に慎重に行うという違いがあるだけです。
今回は全体で数ピッチ程でしたが、夜間に操作する場合ザイルは明るい色の方がいいですね。

滝の近くを降りる場合低山では、大抵支点となる木が茂っている場合もありそれが利用できます。
逆に言うと、こういう場所は見通しは悪く、ザイルが木や岩に挟まりザイルの回収が困難になる可能性があります。できるだけ各ピッチは直線的にザイルが流れるようにピッチを配置したいです。
下の図で言いますとD点からF点から直接降りれそうですが、結果として一旦E点で中継して降りたことによってザイルの長さが十分足りて引っかかりやザイルの擦れも無くスムーズに降りれたと思います。
実際凸部のあるB点からC点に降りる際には実際小さな枝に挟まったザイルの回収が結構困難でした。

もう一つ重要な点は、落石の危険です。夜ですと落石が確認しづらいので懸垂を行う崖の様子の初期確認は重要です。
ザイルの動きによっては浮石が落下したりします。ルンゼ状のルートは特にそういう落石が多いです。
各支点間でザイルの受け渡しも確実に行い、道具を落下して失わない工夫も必要です。ザイルは予備があったほうがいいのでパーティで2本は必要だと思いました。

study_2013_0.png


視界の確保ですが、懸垂する前に崖下の様子の確認は夜間ではやりにくいことの一つです。
懸垂の前にザイルが届くか、障害や危険要素がないなど確認がより重要になります。
ヘッドライトとして今回は山用品店のIさんのオススメである、ブラックダイヤモンドのストームを使いました。
SPECは100ルーメン、遠距離・近距離切り替えができるタイプで遠距離では70mまで光が届きます。
崖下の確認はこうした遠距離へ光が飛ばせるタイプは重宝されました。
下の絵は、遠距離(A)、近距離(B)のランプの配光のパターンを示しています。
但しザイル操作の時など、切り替えはできない状況もありますので実際遠距離近距離ハイブリッド配光(C)のLEDランプが欲しいですね。
足元をフォグランプのように照らしながら遠距離が見える、これならVERY GOODですね。


study_2013_1.png


さて夜間の懸垂ですがメンタル面について少し話させていただきます。
まず、一人では絶対したくありません。今回は沢の先達が同行されていたので随分助かっております。
ただ夜は高度感が無く、不思議に懸垂するという躊躇感のようなものは一切感じませんでした。
昼間よりはむしろ心理的には楽だったと思います。
但し潜在的な危険性はより高く、岩の様子やザイルの状況確認そして各動作をスムーズに落ち着いてより慎重に行うということは重ねて強調したいです。
何よりもチームワークが試されると思います。

最後まで拙文をお読み頂き誠に感謝です!

コメントの投稿

非公開コメント

RE:非常時の判断

ヒロさん☆

その節は本当にありがとうございました。
あの懸垂のお陰で危険なザレ場の降りやもろい岩のヘツリが回避でき、安全に降りることができました。

コースは初心者向けであっても、ルートファインディングによる降りで手こずる最たる例でしょうか。
他の登山者も帰還路は色々あったようです。
今回は、セルフビレイの取り方も勉強になりました。
比較的細い木が多かったのでその点は少し不安もありました。

野外撮影に何が起こるか分かりませんが、いつも非常時の行動をどうするか決めておいておくのがいいのでしょうね。

非常時の判断

自然相手の沢のぼりでは思わぬアクシデントが付き物ですね。最近は異常な量の降雨も多く、地形が大きく変化している場所もあり、下山路が崩壊していて、遡行時よりはるかに危険度の高い下山となる場合も経験しております。

ところで今回はかなり危険な状況であったと思います。二人で知恵を出し合い冷静に行動できたことが勝因だと思います。まさに一歩間違えばという状況でした。
仰るとおり、夜間は見えないだけに危険の度合いが認識できず、昼間なら避けるような場所でも危機感なく懸垂下降してしまう恐れがありますね。

今回、ふぇるめーるさんが持参されたヘッドランプは遠くまで照らせる性能が大いに役に立ちましたね。懸垂下降の最後のピッチはザイルが下まで届くかどうかがポイントですので、それがはっきり認識できるヘッドランプの明るさは心強かったです。

ザイルはダブルで使うと1ピッチで下降できる距離が短くなりますが、作業の早さ、障害物への引っ掛かりの少なさを考えると、やはりダブルが良いと感じました。荷物にはなりますが、同一のザイル25mを2セット持参することが好ましいですね。

今回の経験を次回に活かしてより安全な山行を心がけたいものです。
プロフィール

ふぇるめーる

カテゴリー
ブログ内検索
最近の記事
最近のコメント
リンク
管理人へのFC2メールフォームです
◆山のこと写真のことなど自由にお書きください(Jan.2015新設)

名前:
件名:
メール:
本文:

RSSフィード
最近のトラックバック
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる